耳寄りな話
2009年 01月 19日
映像のない音声だけで表現するのも面白いと思ってCDマガジン「耳寄りな話」を創刊した。出したい時にいつでも出せるという超不定期発行だ。
たとえば、天才アラキーこと写真家の荒木経惟さんがカメラで写真を撮っている仕事場に出向いて、そのシャッター音だけを採らせてもらったものがある。シャッター音だけで写真を感じてもらおうというのが狙いだった。
荒木さんはわたしからの依頼をいつも快く引き受けてくれる。
収録したのは関係者以外厳禁の場所だった。
そこでは週刊誌のために人妻のヌードを撮影していた。収録したものには、その部屋の畳の上を荒木さんが素足で動き回る時に出る摩擦音とシャッターを切る時に被写体に向けて出すいやらしげな声が入り混じっていて、それらの音や声から見えてくるのはエロトス(荒木さんの造語でエロス[生への衝動]とタナトス[死への衝動]からきている)を感じさせる音声写真だった。
他に面白かったのが、みうらじゅんさん。みうらさんの事務所で、二人でみうらさんが小学校の時から雑誌や新聞などの記事を独特の趣味でスクラップしてるスクラップブックのページをめくりながら、その音についてあれこれ批評するのがとても楽しかった。スクラップされているものは見えないが、話の内容から妄想させるところが面白い。馬鹿げているように思われるかも知れないが、みうらさんとやると、そこに何か奥深いものがあるように感じられるから不思議だ。
他に糸井重里さんも付き合ってくれているものもある。
こういったことをまたやりたいと思い始めている。