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「詩のボクシング」が目指してきたものとは(その1)


3D(立体)映画「アバター」が、これまでのCGを用いた映画では出せなかった現実感(2次元の世界からすれば超現実ともいえる感覚)を出すことに成功し、しかもそのエンターテインメント性が受け入れられ、多くの観客動員に繋がり、映画の興行収入で世界トップになったことが伝えられています。

この3D映画は、どこか実験的な要素が残されていたこれまでのCGあるいは立体映像の領域を脱して、エンターテインメントとしての新たな映像世界を切り開いたことになるとわたしは評価しています。

もちろん、映画の世界のみならず実験的なものは必要です。既存の表現ジャンルにおいても実験的な試みは大いに行われなくてはならないと思いますが、旧態依然とした枠に収まっているものを果たして実験と呼べるかといえば、それは実験の振りはしているが実は実験ではない、としかいえないのではないかと思います。

自作朗読においても同じことがいえます。旧態依然とした枠の中で、あるいはその枠内での人との閉じた関係性(自己実現できない不満を人に当たり散らすなど)によって表現をしても、そこからは何も新しいものは生まれないでしょう。

その点において「詩のボクシング」は、旧態依然とした枠に収まるのではなく、また人との閉じた関係性に居座るのでもなく、賛否両論はあっても(それがあるが故にということもありますが)、旧態依然とした枠を打ち破り、その外にこれまでにない表現を楽しめるエンターテインメントな場を作って来たと自負しています。

そのことは、全国から会場に駆け付けて来て「詩のボクシング」を楽しんでくれる観客がいることで少なくとも証明されるのではないかと思います。

振り返ってみると、「詩のボクシング」を始めたころ、詩を声に出して読むとはけしからんとよくいわれました。信じられないでしょうが、知的レベルとしては、活字は声に出して読むよりは黙読できることのほうが高いとされていたのです。

また、朗読はパフォーマンスではないともよくいわれました。このことは、黙読と音読のアナロジーとして武家階級に愛された能と庶民文化の花であった歌舞伎の動きの表現にその違いにみることもできるでしょう。つまり、能は動きが刈り込まれ、表現が研ぎ澄まされていますが、歌舞伎はその点約束事が少なく、受け手に知的レベルの高さを求めない分だけ動きが大きくなっています。そして、敢えていわさせていただくなら、庶民が楽しむ「詩のボクシング」、その場では朗読者が歌舞伎のように庶民に受け入れられる大きな動きをしてもよいということになります。だからといって知的レベルが低いとはまったく思っていませんが。

さらに、商標登録についていわれたこともありました。最近のニュースでも歴史上の人物の名前の商標登録について話題になりましたが、実は「詩のボクシング」の名称についても、2000年にその名称を東京にある旗を作っている会社が商標登録をしようとしていました。もちろん、「詩のボクシング」という名称は歴史上の人物の名前ほど認知されているものではなかったので(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディアでは数多く取り上げられていましたが)、その時は誰であっても登録できたかもしれません。しかし、それをされてしまうと「詩のボクシング」の大会は、すべてその会社に許可を取って行うしかなくなってしまいます。そこで対抗措置ではありませんが、その名称の登録をわたしが買い取るような形でするしかなっかたのです。もちろん、そのことが不利に働いたわけではなく、結果論ですが、商標登録したことによって、他の大きなスポンサーを持ったイベント会社や団体などの営利目的の乱用や悪用から「詩のボクシング」の場を守ることができました。

[朝日新聞2010.1.26の記事]より

 吉田松陰らの名前は、東京都渋谷区の会社が2007年11月、乳製品や肉、野菜、ビールなどに名付けられるよう商標登録。萩市では、観光土産品などに3人の名前を使う場合は同社に使用料を支払わざるを得なくなり、同市が08年2月に異議を申し立てた。
 中原中也については、宮城県の飲料製造業者が07年に商標登録を出願していたことが判明。出願は却下されたが、山口市は昨年2月、中也の名前が独占的に使われるのを防ごうと、菓子や文房具類などについて「中原中也」と「中也」の商標登録を出願した。
 特許庁から両市に届いた通知などによると、同庁は、こうした歴史上の人物の名前の商標登録を認めれば、「観光振興や地域おこしなどの公益的な施策を阻害し、社会公共の利益に反する」と判断。萩市の異議申し立てを認めて登録を取り消し、山口市の出願は拒絶すると通知した。
 萩市は「当然の主張が認められた」、山口市は「独占使用を防ぐ当初の目的は達成された」と、いずれも一安心している。

by videoartist | 2010-02-03 10:30 | 「詩のボクシング」