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92歳になってから詩を書き始めた!


漫画家のやなせたかしさんが、92歳になってから詩を書き始めたという柴田トヨさんの詩集「くじけない」について産経新聞紙上で書評をしていました。

わたしは、その書評を過去に「詩のボクシング」に参加された90歳前後の方たちの「齢を重ねた言葉は、それだけですでに詩であると感じさせてもらった」ことを思い出しながら読みました。

しかもやなせさんは、柴田さんの詩について、「詩はおもいついた時にノートに鉛筆で書き朗読しながら何度も書きなおして完成するので、1作品に1週間以上の時間がかかるそうですが、これは正しい詩のつくりかただと思います」と書いています。わたしも、文字の言葉がどのように声の言葉を孕んでいるのか、それを確かめながら自分の言葉を見つけ出すことは詩にとって必要不可欠な行為だと思っています。

さらにやなせさんは、「もし詩のボクシングで、柴田トヨさんとぼくがリングで対戦することになったら、たたかう前にぼくはギブアップして平伏してしまいます」とも書いています。ただ、たたかう前に平伏するかどうかは、これは実際にリングに立ってみないと分からないことでしょう(笑)。それが実現できるかどうかは別として、「詩のボクシング」がやなせさんの詩というイメージの中に住み着いていると感じられたのが嬉しかった。

ちなみに、もう10年ほど前になりますが、90歳になったまどみちおさんに出場依頼をしようと思ったことがありました。

【書評】『くじけないで』柴田トヨ著
2010.03.28 産経新聞東京朝刊

眼をさました詩の天使

すばらしい詩集です。今まで詩に興味のなかったひともこの柴田トヨさんの「くじけないで」はぜひ読んでみてください。人生いつだってこれから、何をはじめるにもおそ過ぎるということはないと元気がでてきます。

92歳から詩を書きはじめて、100歳近くなった現在までの詩を読んでいくと、詩の質が進歩していることにも感動します。

生きてるということは本当にすばらしいとうれしくなる。

「私が詩を書くきっかけは倅のすすめでした。腰を痛めて趣味の日本舞踊が踊れなくなり、気落ちしていた私をなぐさめるためでした」

と、あとがきにありますが、それが天の声で、トヨさんの心の中でねむっていた詩の天使が眼をさまして、人生の晩年に歌いだしたのだと思います。少しも枯れていない少女のような愛らしい声で。

詩はおもいついた時にノートに鉛筆で書き朗読しながら何度も書きなおして完成するので、1作品に1週間以上の時間がかかるそうですが、これは正しい詩のつくりかただと思います。

全部の詩がなめらかで読みやすい。耳にやさしくひびきます。

読んでいてひとりでにメロディが生まれて思わず歌ってしまった詩もありました。

ぼくは詩の楽しさはこういうところにもあると思っています。

読んでもなんのことやらよく解らず、相当な知識がないと理解できない難解な詩も、それはそれでそんな詩を愛するひとたちにはいいのだと理解していますが、誰でもがわかる詩で、イージーリスニングであるほうが、むしろぼくは好きです。

もし詩のボクシングで、柴田トヨさんとぼくがリングで対戦することになったら、たたかう前にぼくはギブアップして平伏してしまいます。

詩集の最後に「秘密」という詩があります。

 九十八歳でも

 恋はするのよ

 夢だってみるの

 雲にだって乗りたいわ

 「ぼくもそうだ」と心の中でトヨさんにさけびました。(飛鳥新社・1000円)

評:やなせ たかし

by videoartist | 2010-03-29 12:00 | 「詩のボクシング」