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ワークショップ型青森大会チャンピオン誕生!


初めてとなる青森大会が青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸の中で行われました。

そして吉岡さやか選手がチャンピオンとなり、全国大会への出場を決めました。

10月27日の全国大会での朗読に期待してください。

吉岡さやか選手c0191992_16394016.jpg




全国大会への意気込み

吉岡さやか

船はさぞ驚いたことだろう。何十年かぶりに飼い主の声を聞いた老犬のように、耳を立て尻尾をあげて走り出したかったに違いない。数十年ぶりに、出港を告げる銅鑼の音が、鳴り響いてきたのだから。

青函連絡船八甲田丸で行われた初の青森大会は、風のない穏やかな夏空の下行われた。今は青森市のベイエリアに、観光施設メモリアルシップとして開放されているが、私はそれまで入ったことがなかった。開会直前まで、私は埠頭近くのベンチで足をブランブランさせ、空を舞うカモメと青い海に浮かぶ巨大な黄色い船体を交互に見ながら、朝の残り物弁当を一人平和に食べたのだった。

しかし思い描いていたものとはまるで違っていた。前日の予報で暴風を懸念したスタッフが、急遽、リング会場を甲板下の車両甲板スペースに移したのだった。一歩館内に足を踏み入れると眩しい夏の光は一瞬に失われ、薄暗く冷んやりとした鉄錆の匂いに変わった。リングはもう、天井桟敷の舞台のようでもあり、朗読ボクサー達が生き残りをかける非情なコロシアムとして存在していた。

そこでの死闘(詩闘?)は、その場に居た者にしかきっとわからない。言葉と声のボクシングは、その場の空気を響かせ、一人の語り手と一人一人の聴き手との間の、ほんの一瞬にしか存在しえないからだ。老若男女、叫ぶ者囁く者語る者詠む者、皆がむきだしの詩人であった。

私はただ、ゴング代わりに用意された、八甲田丸の銅鑼の音が鳴る度に、出て行きたがる詩たちを檻から出して解き放っただけだ。そして観客達が力を添えて見送ってくれたのだと思う。あの日大きく手を降って、出港する船を(その航海の無事を祈って)送り出したように。

詩もこれで、いい船出ができた。私も深く感謝します。大会にかかわった全ての皆様に。青森の海に浮かぶ、青森の山の名を持つ船に。広い海で出逢う、すごい朗読ボクサーとの次の冒険が、今は楽しみです。


吉岡選手の背後には、展示用の電車が写っています。

これは八甲田丸の車両甲板で大会を行ったからです。

ゴングは八甲田丸出港の時に鳴らされていた銅鑼。銅鑼を実際に叩いていた方がゴング担当でした。

c0191992_16303654.jpg



声と言葉 リングで応酬/「詩のボクシング」青森初開催/チャンピオンに吉岡さん
2012.07.15 東奥日報朝刊

ボクシングのリングを模した舞台で自作の詩を朗読して勝敗を競う「詩のボクシング」の青森大会が14日、青森市の青函連絡船メモリアルシップ「八甲田丸」で初めて行われた。高校生から79歳までの男女18人は、日常生活の出来事や家族、震災などを題材に熱戦を繰り広げ、初代チャンピオンには青森市の吉岡さやかさん(37)が輝いた。

まず、「詩のボクシング」を主催する日本朗読ボクシング協会の楠かつのり代表の指導を受けながら、予選も兼ねたワークショップで16人を選出。本選では対戦者2人が、3分以内で自作詩をさまざまな表現で語り合うトーナメント方式で対戦した。

楠代表や三沢市寺山修司記念館の佐々木英明館長ら5人が、どちらの声と言葉が観客の心に響いたかを判定基準にジャッジを下した。

決勝で八戸市の大庭れいじさん(47)と対戦した吉岡さんは、その場で与えられたお題の「涙」で即興詩を披露。雪を「涙」に例えて「真っ黒な私たちは真っ白な雪を避けて舞う。それは北国の黒い雲が運ぶきれいな涙」と締めくくった。楠代表は総評で「いずれも素晴らしいファイトだった。特に吉岡さんは言葉に乗せる感覚が研ぎ澄まされていて、自分から浮遊するように世界をつくり上げていったのは見事だった」と話していた。

10月27日に横浜市で行われる全国大会の出場権を得た吉岡さんは取材に「本当は逃げ出したかったけど、優勝できてうれしい。家族に内緒で参加したので、家に帰って何て説明したらいいのやら。全国大会でも頑張りたい」と笑顔を見せていた。


by videoartist | 2012-07-15 16:30 | 2012年個人戦・団体戦全国大会