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ステージ版「詩のボクシング」について(2)


9月5日に上演したステージ版「詩のボクシング」について北海道新聞に書いた。

声と言葉で闘えるものはリング外にあると真正面から「いじめ」に切り込んでみた。


湧別でステージ版「詩のボクシング」*楠かつのり*「いじめ」テーマ 8人が自作品朗読*表現の場 新たな可能性

2012.10.09 北海道新聞夕刊全道 

 今年は北海道の夏も暑く長かった。そんな9月5日、オホーツク管内湧別町でステージ版「詩のボクシング」を上演した。

 「詩のボクシング」は、ボクシングリングに見立てたステージ上で、2人の朗読者が交互に自作品を朗読し、どちらの声と言葉がより観客(=他者)に届いたかを競う。「声と言葉の格闘技」とも呼ばれ、勝敗は聴き手であるジャッジの判定によって決まる。1997年に始めてから今年で16年目。全国各地で一般参加による「詩のボクシング」の大会が行われており、さらには小、中、高校の教育現場でも自己表現力、コミュニケーション力が高まると授業に取り入れられている。

 わたしはかねてから「詩のボクシング」出場者たちによって新たな表現の場ができないものかと考えていた。その考えに賛同していただいた湧別町教育委員会の協力のもと、上湧別、湧別、湖陵の3中学校合同による芸術鑑賞で実現することになった。

 このステージ版の出演者には、今年の同大会参加者から8人を選抜。そして8人には、根暗な人、肝っ玉母さん、学校教師、新聞配達人などの役柄と自作朗読する作品に初めて「いじめ」をテーマとする条件を与えた。

 出演者が投げ掛ける自らの体験を踏まえた声と言葉を中学生がどのように受け止めるのか。正直、不安もあった。だからといってそれを避けていては、その先を切り開く生きた声と言葉など見いだせるものではない。

言うまでもなく、「いじめ」は子供の世界だけのことではない。大人の世界にもある。あまつさえわたしたちはありのままの世界を見ているのではない。実は脳が見たいと思っているものを見ている。つまり、先入観によって物事を見ているのである。だから、「いじめ」があっても見逃す、あるいは見間違えてしまうこともある。それ故に、「いじめ」を教員と教育委員会の責任逃れだと短絡的に決めてしまうのはあまりに危険だ。だからこそ、生徒、保護者も含めて「それぞれの心の内に宿る先入観をしっかりチェックしよう」と問い掛けもした。

 ステージ版の終わりには、元世界チャンピオン・内藤大助さんの新聞に掲載された「『いじめられたらやり返せ』っていう大人もいる。でも、やり返したら、その10倍、20倍で仕返しされるんだよな。わかるよ。俺は一人で悩んじゃった。その反省からも言うけど、親でも先生でも相談したらいい。先生にチクったと言われたって、それはカッコ悪いことじゃない。あきらめちゃいけないんだ」のコメントを出演者全員で輪読する演出をした。

 始める前は、中にはいじめに遭っている子がいるかもしれない、あるいはいじめている子がいるかもしれない、聴き手の心にどのような波紋をもたらすか、重い緊張感があった。だが、終わった後、中学生の表情はみな生き生きとして晴れやかだったことが印象的だった。

 このステージ版は、依頼があれば道内のどこにでも出向いて上演したいと考えている。ちなみに、このステージ版でチャンピオンになった北大生、大谷真仁(おおたにまさひと)くんは、27日に横浜で開催される第12回「詩のボクシング」全国大会に特別枠選手として出場する。

(くすのき・かつのり=音声詩人、日本朗読ボクシング協会代表)

◇27日に全国大会 第12回「詩のボクシング」個人戦・全国大会は27日(土)午後0時30分から、第4回「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会は同日午後3時30分から、共に横浜市の県民共済みらいホール(中区桜木町1)で開催する。3千円。問い合わせは日本朗読ボクシング協会(電)045・788・2979(ファクスも)か、電子メール(voice@jrba.net)へ。

【写真説明】「いじめ」をテーマに初めて試みた「詩のボクシング」ステージ版=9月5日、湧別町文化センターさざ波


by videoartist | 2012-10-15 09:00 | 2012年個人戦・団体戦全国大会