日々にイメージを採取する!


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カテゴリ:2012年個人戦・団体戦全国大会( 28 )

2012年を振り返って


今年を振り返ると「詩のボクシング」では、社会問題をテーマに声の言葉にどれだけの力があるのかを試みるステージ版を行ったことが収穫として挙げられます。

ステージ版においても聴き手全員がジャッジになります。つまり、聴き手との対話力が求められるのです。そこに新たな表現の可能性も宿っています。その可能性の一つにステージ版は成り得るのだと感じました。

c0191992_62844.gifステージ版「詩のボクシング」


また、先日衆議院選挙が行われましたが、その最中に読売新聞・大阪本社から「政治家の言葉」というテーマで取材を受けました。12月11日の新聞に掲載されました。以下は、その抜粋です。


演説 3分間でジャッジ

言葉で戦う「詩のボクシング」では、自分の言葉を発するわけです。そのためには、人の話をちゃんと聞けているかどうかが大きいですね。人の話を聞いて、自分の心に深く届いた言葉をたくさん持っていないと。聞き上手でないと。

どうしようもないのもある。自分の好き勝手な主義主張を言って。どこか紋切り型で。観客がジャッジするんです。観客はプロの聞き手ではないですが、意外と鋭いんですよ。観客をバカにして話すと見透かされてしまう。

政治家もそこをきちんとやらないと。一般のきちんと生活している人に届く言葉を持たないといけない。有権者の所を歩いて、声を聞いて。それが最低限必要なことだな。やはり言葉がころころ変わるのは、全然ダメですよね。それから、自分を批判してくれる声にどれだけ耳を傾けるか。

その人の生きてきた年月とか、価値観みたいなもの。人柄が出てくる。具体的なことを言って、そこに共感できるかどうかであって、抽象的ではダメですよね。

例えば「いじめはけしからん」というのは分かっている。紋切り型で「いじめのない社会」と言われても、そらそうでしょうとなってしまう。いじめを巡る、何かの経験があるなら、それをどう消化して乗り越えたのか。葛藤してるっていうか、その先に生まれる言葉は、一番信用できる。

街頭演説をちょっと聞いてみたらいいんじゃないですか。3分間聞いて、ダメだなと思ったらもういい。心を無にして聞く。響くものがあれば、投票の判断材料となります。

最終的に投票に行った時にどこに決めるかとなると、本当に「詩のボクシング」のジャッジ判定に似ているところがある。その時に何が残るかってことですよね。



そして、阿川佐和子さんの「聞く力」が、今年もっとも売れた本として取り上げられています。

「詩のボクシング」を始めた時から、わたしも「詩のボクシング」では話す力よりも聞く力が必要だと言ってきているので、嬉しい限りです。

その阿川さんと話している本があります。その本のことを紹介した内容を以下に引用します。

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「過去のことをいくら学んでも(わたしたちが生きるために)出て行くのは未来なのです」、これは最近のわたしがよく口にしている言葉です。

そこには、「身体的な言葉こそが未来を切り開けるのだ」という確信があります。

身体的に獲得された言葉は、声の言葉となってその姿を現わします。ところが、その姿を知覚するのは容易ではありません。自分一人では不可能です。他者が必要となるのです。

つまり、その姿を知覚するためには、自らが声の言葉を発他者の声の言葉を聴ける場がなくてはなりません。その場に、わたしたちが未来へと出て行ける出口も見つかる、そうわたしは思っています。

その思いを支えとして書いた本も何冊かあります。そして、そのことをよく理解してくれた人たちもいます。



c0191992_401330.jpg

からだが弾む日本語
楠かつのり 著
朗読を「言葉のスポーツ」に
2002.9.6 <日本教育新聞>

 「声としての言葉を強く意識した存在として自らを『音声詩人』と呼ぶことにしている」という著者は、日本朗読ボクシング協会の代表である。朗読ボクシング協会では「詩のボクシング」トーナメント戦を全国的に展開し、全国各地にその輪を大きく広げつつある。

 「詩のボクシング」は、リング上で二人の朗読者が交互に自作を朗読し、自分の“声の言葉”をどちらがより観客に伝えたかを三分間で競う「言葉のスポーツ」「言葉の格闘技」である、と著者は言う。

 著者の書いた台本が役者によって演じられた折、「言葉を役者が身体に通すことによって、書き言葉が生きた言葉になることを体験していた」と語る著者は、「言葉は精神の問題である以上にはるかに身体の問題である。母語は、生まれながらの言語能力によって身体的に獲得されるのであって、理屈や理論によってではない」と確信するに至る。このように考える著者によって選ばれた『からだが弾む日本語』は、五章のパートにわたって「智恵子抄」「山のあなた」「ズンドコ節」「となりのトトロ」「雨ニモマケズ」など多彩な名品をちりばめ、簡潔な解説を付して読者をたえなる日本語に誘う。

 他に永六輔、阿川佐和子、養老孟司氏らとの日本語をめぐる対談を併載し、巻末では「詩のボクシング」への思いを熱く語っている。日本語再発見の好ガイドである。

(文庫版680円 宝島社)
野口芳宏・北海道教育大学非常勤講師)


by videoartist | 2012-12-27 11:00 | 2012年個人戦・団体戦全国大会

金曜フリースペース  高知から生まれる新文学 「声と言葉のボクシング」  
本県2チーム 全国で活躍
2012.12.21 高知新聞朝刊  (全3,212字) 


 「ファイッ!」、カーン。レフェリーの掛け声とゴングの音が鳴り響き、リングの上ではボクサーがにらみ合う…ことはなかった。白いマットで動き始めたのは、グローブをはめたボクサー2人ではなく、3人組。しかも詩の朗読だ。

 「声と言葉のボクシング」は、こうやって始まる。全国はもとより高知でも次第に人気を集めており、10月に横浜市で開催された全国大会では、本県代表チームの「昭和歌謡曲B面」が準優勝。もう一つの本県代表「秘密結社☆イデア」も奮闘した。日本朗読ボクシング協会代表で音声詩人の楠(くすのき)かつのりさんは「高知から新しい文学が生まれつつある」とまで言う。「声と言葉のボクシング」って、いったい何だろう。全国で活躍した2チームの様子をのぞいてみた。(笹島康仁)


  ▼「昭和歌謡曲B面」  「頑張りや」のエールを

 「昭和歌謡曲B面」は下尾仁さん(43)、嶋崎ユリカさん(41)、田村ちかさん(34)の3人組で、明るく元気なパフォーマンスが持ち味だ。昨年の全国大会もベスト8。今年は「勝てるとは思わんかった」が見事、全国2位に駆け上がった。

 3人が大切にするのは「伝わる、分かりやすいメッセージ」。全国大会で披露した「フレフレ自分」は、いじめられっ子や自信のない人を応援するメッセージだった。どんな内容だったのか。紙の新聞だけで「昭和―」のパフォーマンスを再現するのは難しいが、リング上の3人は会場をとりこにした。

 ゴングの後、嶋崎さんの「まったく…。なんでこんなにトロいのかしら」という言葉から、パフォーマンスは始まる。時には激烈なせりふで、時には本当に大きな声で3分間。

 リーダーの下尾さんは「ぼろくそに言うのは仲間やから。いじめやなくて『頑張りや』というメッセージ。本気で落ち込む人にはそういうこと言えん」と話す。伝えたいメッセージは「頑張れ」だ。

 そのために3人は体全体を使い、全力で表現する。「昭和―」のスタイルだ。「そこまでするか」と思ってしまうほど、全身全霊を傾けて大声を出す3人の姿に、観客は思わず笑い、いつの間にか引き込まれてしまう。

 下尾さんは話す。

 「最近、病んじゅう人多いろ? みんな忙しすぎるがやき。僕らはバカバカしいことでも一生懸命やりゆう。それを見て『あんな人もおるんか』って思って、元気になってもらえたら」

 3人は演劇の経験があり、リング上での朗読は寸劇のようでもある。「あんなん詩やない」と言われることもあるが、下尾さんにこだわりはない。

 「表現するという意味ではあまり変わらんと思う。とにかく3分間、何かしゃべったらいいかなって」

 嶋崎さんも「(このボクシングは)何をやっても許される。型にはまらない表現ができるのがいい」と言う。

 “詩”にとらわれない自由な表現は、全国でも十分に通じたようだ。


  ▼「秘密結社☆イデア」  「壁」越え心に触れたい

 「スー、ハー」

 「ラリナイ、ラリナイ」

 「スー、ハー」

 「ラリナイ、ラリナイ」

 深呼吸の音と呪文のような声。その上に詩の言葉が重なる。

 「休みの日に会社の前、通るときなぜか」

 「息止める」

 「お父さんとお母さんをみとって」

 全国大会に出場したもう一つの本県代表「秘密結社☆イデア」は、こんなパフォーマンスを繰り広げる。明るくて元気な「昭和歌謡曲B面」とは対照的に、どこか、うつうつとした朗読だ。

 メンバーは瀧村鴉樹(あき)さん(27)、青樹槐(えんじゅ)さん(25)、トミーさん(24)=いずれもペンネーム=の3人。伝えたいことを言葉ではなく、“音”にまで単純化する「音声詩」を取り入れた。言葉の背後を「スー、ハー」「ラリナイ、ラリナイ」が通奏低音のように流れる。

 トミーさんは「自分は周りと違うんじゃないかって、疎外感を抱いて生きてきた」と言う。

 リーダーの瀧村さんも同じだ。「感受性が強すぎて、日常生活の中でもつらいことが多い。同じように(自分は周りと違うと)感じている人も多いんやないかな」

 そんな“異邦人”たちの指針になれたら、との思いで3人は活動を続けてきた。結成は昨年9月。毎月末の土曜夜には、高知市帯屋町1丁目のアーケードで詩の朗読ライブを続けている。

 道行く人には冷たくあしらわれることが多い。「何をやりゆうがやろ?」と不思議そうな表情を見せる人、酒に酔って絡みに来る人…。でも瀧村さんは、意に介さない。

 「多くの通行人にとって、僕らはただの雑音でしかない。人は普段、見えない壁を作って生活する。何もかもキャッチすると心が壊れてしまうから、見えるものを単なる映像やノイズにする。でも、中には僕らの思いをキャッチしてくれる人もいる。どうやって壁を飛び越え、心に接触するかが課題なんです」

 「自分たちの詩は暗いと言われるけど、希望を読んでるつもり。ハスの花みたいな。しんどい、寂しいっていう泥の中でもがき、一生懸命上に向かって、やっと水面に顔を出す。呼吸ができて、花が咲く。ただきれい、ただ暗いじゃない」

 全国大会へ向けた8月の高知大会決勝で、「秘密結社―」は、後に全国2位となる「昭和―」を破って優勝した。両チームとも実力に差はない。


  《「昭和歌謡曲B面」の「フレフレ自分」(全文)》

 嶋崎 まったく…。なんでこんなにトロいのかしら。ほんとにもう。それに何よ、その服。超ださっ。こんなのと仲間だなんてほんと恥ずかしいわ。

 田村 …どうせ私はかわいくないし。

 下尾 まったく、お前トロいんだよ!

 田村 …どうせ私は何やったって下手だし。

 嶋崎 まったく、やってられないわ。

 下尾 どうする? メンバー変える?

 嶋崎 そうね。これじゃいいものを作れないわ。

 下尾 この、グズが!

 田村 …なんで私ばっかり、こんなこと言われなきゃいけないの? もう嫌だ…何もできない…。自分自身が嫌だ…。……(間が空く)。

 田村 フレー、フレー、じーぶーん。フレー、フレー、じーぶーん。

 下尾 あ?

 嶋崎 何ぶつぶつ言ってんの?

 田村 フレー、フレー、じーぶーん。フレー、フレー、じーぶーん。

 下尾 聞こえる?

 嶋崎 ううん。

 下尾 もっと大きな声出して言ってみろよ。

 嶋崎 もっとできるでしょ?

 田村 (立ち上がる)フレー、フレー、じーぶーん。フレー、フレー、じーぶーん。

 下尾 もっと、もっと出るだろ!

 嶋崎 できるわ!

 田村 フレー、フレー、じーぶーん! フレー、フレー、じーぶーん!

 下尾 そうだ! もっと! 出てるぞ! もっとー! もっとでっかい声が出るぞー! 出せー! もっと、もっと出せー!

 田村 フレー、フレー、じーぶーん! フレー、フレー、じーぶーん!

 下尾 そうだー!

 田村 これでいいの?

 嶋崎 そうよ、最高!

 田村 なんだかすごく声が出た。ちょー気持ちいい。

 嶋崎 そうよ!

 下尾 誰だって、誰だって秘めたエネルギーを持っている!

 嶋崎 自分の殻を破ることができるのは自分自身!

 田村 さあ、あなたにもできる!

 下尾 もっと、自信を持って!

 嶋崎 大丈夫。みんな受け止めてくれる!

 田村 できないことは何一つない!

 3人 あなたの魂が叫んでいる!


  《ズーム》

  ◆声と言葉のボクシング

 3人で行う団体朗読をボクシングに見立て、競技にした。ボクシングのリングにならったステージで、朗読者が交互に自作の詩を読む。どちらの朗読が心に届いたかを、観客が赤か青の札を掲げて判定する。主催は日本朗読ボクシング協会(横浜)。1997年から個人戦「詩のボクシング」を始め、2009年からは団体戦の「声と言葉の―」を開催している。


by videoartist | 2012-12-21 20:00 | 2012年個人戦・団体戦全国大会

番組担当者からのメール:

舛谷万象くんが主人公の「フレ☆フレ」がいよいよ、全国放送です。楠さんには、8月の高校生大会からずーっとお世話になりっぱなしで、本当にありがとうございました。

詳細を以下に記します。
もしよろしければ、周辺の方々に告知していただけますと大変うれしいです。


ティーンズプロジェクト フレ☆フレ
「詩のボクシングに挑む!文学青年 完結編」
本放送:NHK Eテレ 11月30日(金)18:55~19:25
再放送:NHK Eテレ 12月1日(土) 12:00~12:30
再放送:NHK総合  12月1日(土) 17:30~18:00(※東海北陸地方のみ)
   ↓
c0191992_62844.gifティーンズプロジェクト フレ☆フレ
by videoartist | 2012-11-30 13:00 | 2012年個人戦・団体戦全国大会

第4回「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会チャンピオンチームのみなみ家が神戸新聞に紹介されています。

お読みください。
   ↓
c0191992_62844.gifみなみ家・神戸新聞より


全国大会チャンピオン!!!?

まさか まさか 日本一だなんて 今だ夢のようです。あの日のリングを 思い出すと 今だに 体が熱く、いや、あの緊張感とお客さんの歓声、 ジャッジの瞬間の会場いっぱいの赤と青、 脳裏に焼き付いて体が震えます。

全国大会当日、朝のトーナメント抽選会 母が引いた対戦相手は、なんと まさかのMM1! 血の気がひいた。「また一回戦負けかも」負ける怖さがフラッシュバック。体が震え半泣きで。会場にいたら雰囲気に呑まれてしまうので会場近くの遊園地へ。「ママのバカ〜!なんで強い相手引くんよ〜!」ジェットコースターで 三人絶叫。

戦う怖さには 違う怖さで気分転換。観覧車の中で 自己紹介の練習。高さに怖がってたら少し落ち着いてきた。 一回戦で負けたとしてもお客さんに「惜しかったね。いい試合だったね」と言われるよう精一杯やろう!と 母決意!! 娘2人も うなずき、いざ会場へ。

一回戦、さすがMM1は見事だった。でも やる!みなみ家のパフォーマンス!!

奇跡がおきた。夢を見ているみたいだった。お客さんの反応がすごかった。うそ?!なんで!?ビックリした。二回戦、 三回戦、「また読める!!」嬉しさが次々やってくる!まさか決勝!?ウソ ウソウソ〜!! 即興練習は 全くやってない!けど 即興なんてめちゃくちゃ幸せ〜!! お題、「秋」!!

「秋〜!」「秋〜!!」「あき〜!!」三人の声がこだまする。無我夢中。

あんな楽しい即興は初めてだった。やり切れた!!嬉しさで大満足。ここまでこれた!!(涙)ジャッジの瞬間 優花の手が上がる!?「チャンピオンはみなみ家〜!」

!!!!ウソ〜!!!!

母、「詩のボクシング」を始めて11年。全国大会なんて夢のまた夢の舞台。奇跡は本当におこるものなんだ。個人戦では 全国大会勝てなかった。

娘2人 産んどいて良かった。真優、優花、ママを日本一にしてくれて、ほんまにありがとう。

新聞に載り、お祝いの電話、メール、手紙を沢山いただく。学校でも 先生方やクラスメートに祝福され。みなみ家の親戚が集まって祝賀会!!お祝いの品々。近所の方々からも褒めていただき 娘たちは 上機嫌。上郡町民報。役場。神戸新聞からも再取材。日本一って なんて幸せなんだろう。

いろんな方々から 温かいお祝いの言葉をいただく。なんて ありがたいことだろう。私をずっとずっと応援して下さっていた文学館の皆さんや、みかんさんに やっと嬉しい報告ができた。 皆さんの支えあっての私です。

全国大会一緒に戦った選手の皆さん、スタッフの皆さん、会場のお客様、ジャッジの皆様 そして楠代表 本当に本当にありがとうございました! !

みなみ家


by videoartist | 2012-11-22 10:00 | 2012年個人戦・団体戦全国大会

10月27日の2つの全国大会が終わって、やっと一息ついています。

今年も多くの声の場に足を運びました。この16年間で移動した距離は、北は北海道から南は沖縄県とその間の38都府県(新潟、栃木、石川、和歌山、鳥取、島根、大分県を除く)を複数回往復したとして計算すれば、地球を優に7周半はしていると思います。光の速さだと1秒間の距離にしか過ぎませんが…。

今回初めて「詩のボクシング」を観戦していただいた多くの人から、「こうやって人の声と言葉を聴くのは楽しかった、面白かった」という感想を寄せてもらいました。リピーターの方々も、一回一回異なる全国大会を今回は今回として楽しんでくれていたようでした。

ただ、判定について理解されていない人もいるようです。繰り返しますが、「詩のボクシング」は声で表現された作品の優劣を定めているのではなく、表現する人の声と言葉のパンチが聴き手の心を打つ強さの強弱を判定していると思ってください。その場での一回限りのパンチの強弱です。声とは、発せられた瞬間に消えて行くものです。そして、その瞬間に心を強く打った声の言葉が、波紋のように身体の中に広がって行くものでもす。弱ければ、波紋を広げることはないでしょう。つまり、強弱とは、そのようなものだと考えてもらってよいと思います。

地方大会と全国大会で同じ作品を朗読する朗読ボクサーがいますが、地方大会では強く打つことのできたパンチが、全国大会では弱かったと感じることがよくあります。

これはライブという一回性の場としての特徴だけではなく、トーナメントの一回一回対戦する相手が異なることによって生じるパンチ力の強弱も意味しています。

ですから、全国大会チャンピオンが次回も同じようにチャンピオンになれるかといえば、そうはなっていません。各地方大会においても同じです。昨年のチャンピオンが、今年のチャンピオンになれるかといえば、そうはなっていません。このことからも「詩のボクシング」は、優劣を定める場ではないことが理解してもらえるでしょう。むしろ優劣など定めることが無意味だと教えているのが「詩のボクシング」の場なのです。

いずれにしても全国大会の場は16人で闘った場であり、一人として欠けてはならない場なのです。16人で作った声の場が、第12回「詩のボクシング」個人戦・全国大会なのです。もちろん、同じことが第4回「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会にもいえることです。

ステージ版「詩のボクシング」を上演したことについて北海道新聞に以下のことを書きました。※10月5日付けのブログで全文を紹介。


言うまでもなく、「いじめ」は子供の世界だけのことではない。大人の世界にもある。あまつさえわたしたちはありのままの世界を見ているのではない。実は脳が見たいと思っているものを見ている。つまり、先入観によって物事を見ているのである。だから、「いじめ」があっても見逃す、あるいは見間違えてしまうこともある。それ故に、「いじめ」を教員と教育委員会の責任逃れだと短絡的に決めてしまうのはあまりに危険だ。だからこそ、生徒、保護者も含めて「それぞれの心の内に宿る先入観をしっかりチェックしよう」と問い掛けもした。


「詩のボクシング」に対して先入観を持って受け止める人は、その先入観に合うように「詩のボクシング」を評価しようとします。

しかし、「詩のボクシング」は、そのような先入観、優劣を定めるためでも、勝ち負けを決めるためにだけ行っているものではないのです。

「詩のボクシング」の存在理由があるとすれば、閉塞された詩状況に風穴を開ける(これは故・筑紫哲也氏が「詩のボクシング」を評して言ったことば)ことから始まったとしても、(手前味噌かもしれませんが)それは詩状況を越えて現在の表現状況に風穴を開けたのだとわたしは思っています。さらには、日本において声の表現の可能性の道を切り開いてきたとも自負しています。

そして、この"限界芸術"としての場を閉じるとき、「もし疑わしく思うなら、我等の所業の一部始終を汝ら眼を開いて見届けよ」と言わせていただきたいと思います。
by videoartist | 2012-11-10 11:00 | 2012年個人戦・団体戦全国大会

第4回「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会について朝日小学生新聞に紹介されました。

ゲストジャッジの山崎ナオコーラさんのコメントがいいです。
               ↓
「ぐっとくる言葉にたくさん出会いました。みなさん上手にしゃべろうとしているのではなく、『だれかの心の琴線にふれたい』と思ってしゃべっていて、言葉ってこういうものだよなあ、と。言葉の力を再確認しました。」

大会終了後に「本当に来させていただいてよかったです。わたし自身、いろいろと勉強になりました」と真剣な表情でお礼を言っていただきました。

その勝ち負けでは聴いていなかったとする表情を出場者の皆さんに見てもらいたかったな、と思いました。

山崎ナオコーラ
“「多くの人に通じる言葉」を安易に考えるならば、「自分の話」ではなく「みんなの話」の方が良いような気もしてしまう。しかし聴衆は大概個人的な言葉の方に引きつけられた。選手は自分の責任で、外に向かって個人の危うい言葉を放つ。聴衆は受け止める。そして個人の体験が社会に広がるとき言葉は詩になる。”(東京新聞からの抜粋)

c0191992_62844.gif2012.10.30・朝日小学生新聞・PDF形式で拡大

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by videoartist | 2012-10-30 07:00 | 2012年個人戦・団体戦全国大会

速報!

今回ほど多くの方言が飛び交った全国大会はなかったと思います。

方言は心を温めてくれます。

声と言葉の闘いの場であるからこそ、その温かさをひときわ感じることができました。


第12回「詩のボクシング」個人戦・全国大会チャンピオン誕生!

第8回神奈川大会代表の菊池奏子選手がチャンピオンになりました。

菊池奏子c0191992_21595292.jpg


橋本陸 c0191992_20205344.jpg


満員御礼!

チケットを購入されても会場に来られなかった方がいました。その一方で、当日券で入ることのできなかった方が多数いらっしゃたとのこと。入口でモニターから流れる声に必死に耳を傾けていた方もいらっしゃったと聞いています。



「詩のボクシング」社会問題に向き合う
10月27日 17時13分 NHKニュース

リングの上で創作した詩を朗読して内容や表現力を競い合う「詩のボクシング」の全国大会が27日、横浜市で開かれ、東日本大震災からの復興や国際情勢など社会問題に向き合った作品で熱戦が繰り広げられました。

「詩のボクシング」は詩人などで作る団体が毎年開いているイベントで、ことしの個人戦の全国大会には、各地の予選を勝ち上がった10代から50代までの男女16人が出場しました。

会場にはボクシングのようなリングが設けられ、赤と青のコーナーに分かれた選手たちが、それぞれ3分の持ち時間で震災や家族、夢などをテーマに創作した詩を朗読し、観客が赤か青のうちわを上げて内容や表現力を判定します。

このうち、岩手県大船渡市から出場した今大会の最年少で中学3年生の橋本陸さんは、鉄道の駅員をまねた格好で登場しました。

震災からの復興への期待を三陸鉄道の列車が走る姿に重ねた詩を朗読しましたが、惜しくも1回戦で敗れました。

トーナメント戦の結果、個人戦で優勝したのは埼玉県の25歳の会社員、菊池奏子さんでした。

菊池さんは「尖閣諸島」というその場で出されたテーマに対して、「尖閣諸島に連れて行って、わたしの手を引いて」などと、社会問題と距離を置きがちな若者への皮肉も込めた詩を即興で作り、等身大の若者の姿を恋愛観を交えて鮮やかに表現したとして高く評価されました。



詩のボクシング全国大会 埼玉県の菊池さん優勝 団体戦は兵庫の親子チーム
2012.10.27 【共同通信 配信】

ボクシングのリングに見立てた舞台で2人の対戦者が自作の詩を朗読し、観客が勝敗を決める第12回「詩のボクシング」全国大会(日本朗読ボクシング協会主催)が27日、横浜市の県民共済みらいホールで開かれ、埼玉県和光市のシステムエンジニア、菊池奏子さん(25)が優勝した。

着物姿の菊池さんは、湿り気を含んだささやき声で愛の詩を読んだ。即興で詩を作る決勝戦では、「尖閣諸島」という政治的なテーマに困惑しながらも、島と海を叙情的な詩に転化させた。

大会には、東日本大震災による津波で被災したローカル線への愛着を詩にした岩手県大船渡市の中学生や、多難な復興の中で未来を志向する詩を作った宮城県気仙沼市のラジオ局スタッフも出場。計16人が“声と言葉の格闘技”を闘った。

第4回となった団体戦では、兵庫県上郡町の見並なおこさん(36)と真優さん(11)、優花さん(7)の親子チームが優勝。過疎地で暮らす苦労や自然の豊かさをユーモアたっぷりに表現し、会場を沸かせた。団体戦にも気仙沼市から団塊世代の男性チームが出場した。



第4回「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会チャンピオンチーム誕生!

第11回兵庫大会代表のみなみ家のチームがチャンピオンになりました。

団体戦のボクシングは、「詩の」ではなく「声と言葉の」としています。詩ではないのです。声と言葉で聴き手の心を打つ表現すればよいのです。

みなみ家は、3人の発する声がひとつのリズムとなり、そのリズムが次の言葉を呼び寄せ、その呼び寄せた言葉を新たな声にして発していたと感じました。家族とはこういったリズムを作り出せるのだと感心もしました。

  みなみ家
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気仙沼さざ波会のチームは、大漁旗を羽織り、被災地からの今を生きる声で観客の心を強く打ちました。

  気仙沼さざ波会
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by videoartist | 2012-10-27 22:00 | 2012年個人戦・団体戦全国大会

来週の土曜日は、年に一度、しかしこの一回しかありえない全国大会が開催されます。

観戦チケット発売中!

前売観戦チケットの購入手続きは10月22日までとなっています。それ以降は当日券扱いになりますのでご注意ください。

現在、各地の大会が行われておりますが、10月27日(土)に開催される第12回「詩のボクシング」個人戦・全国大会及び第4回「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会の観戦チケット発売中です。

今回は会場を横浜に移しての開催です。

会場のみらいホールのある桜木町駅まで羽田空港から電車で33分(前回の会場とほぼ同じです)、品川駅から24分、東京駅から電車で30分ほどです。

新横浜駅から桜木町駅までは市営地下鉄で15分です。

桜木町駅から会場へは、徒歩3分です。桜木町駅からは動く歩道道ですぐです。

お得なセット券 個人・団体セット券=3,000円

個人と団体のそれぞれの料金 個人戦・前売=2500円 団体戦・前売=2,000円

c0191992_62844.gifチケット購入方法の詳細・PDF形式

c0191992_62844.gifチラシ表・大会日時


以下は、ライブの場でしか体験できない今回の全国大会について紹介した原稿です。


転機を迎えた「詩のボクシング」/27日全国大会 「選手」多彩

高校生を対象にした「俳句甲子園」や「短歌甲子園」のモデルにもなったこの「詩のボクシング」は、16年目を迎えた今年、転機を迎え、全国大会が迫っている。

話題1、過去11回は東京で開かれた全国大会の会場を横浜市に移す。1997年のスタートから関わり続けた「詩のボクシング」が、詩表現と自作朗読に対する固定観念を打ち破る役割を果たしてきたと自負しているが、そのメーン会場を1カ所に固定する理由は全くないからだ。

話題2、出演者が同じテーマで表現を競う「ステージ版・詩のボクシング」を初めて、9月に北海道湧別町で上演した。このステージ版で設定した自作朗読のテーマは「いじめ」。出演者は「肝っ玉母さん」「学校教師」「新聞配達人」といった役柄を与えられ、トーナメントを戦った。ジャッジは、観客でもある地元の中学3校の生徒と教員が担い、北海道大経済学部3年の大谷真仁がチャンピオンに選ばれた。今後もこのように「詩のボクシング」の形式を使って社会問題に切り込みたい。

一方、全国から集まった高校の文芸部の生徒らがジャッジしたのは、8月に富山県で開催された全国高校総合文化祭での「詩のボクシング」大会。山梨県立甲府南高校2年の舛谷万象がチャンピオンとなった。全国大会には大谷と舛谷の他、北海道と青森、秋田、神奈川、滋賀、兵庫、山口、香川、高知、長崎の地方大会のチャンピオンが集う。

今回の全国大会には、東日本大震災の被災地で行われた大会からチャンピオン2人も出る。1人は、気仙沼大会(宮城県)でチャンピオンになった「けせんぬまさいがいエフエム」のスタッフ、藤村洋介。「まだ話したくないことがたくさんあるが、全国大会では詩に対して存分に自分の思いをぶつけたい」と抱負を語る。

もう1人は大船渡大会(岩手県)のチャンピオンである市立大船渡中学3年の橋本陸。津波で失われたJR大船渡線への思いを詩にして朗読した。車掌の扮装(ふんそう)で、今はなき駅名を一つ一つ読み上げる声が聴き手の胸を打ち、郷愁を誘った。

また全国大会と同時に、3人一組のチームで朗読日本一を決める「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会も行われる。「詩のボクシング」は15歳以上の出場制限があるが、この団体戦では制限がなく、今回の最年少は筑波大学付属小学校2年生のチーム。気仙沼大会からは、津波被害で多くの友人、知人を失った団塊の世代のチームがリングに上がる。

 第12回「詩のボクシング」個人戦・全国大会と、第4回「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会は27日、横浜市の県民共済みらいホールにて開かれる。(楠かつのり)
by videoartist | 2012-10-20 08:30 | 2012年個人戦・団体戦全国大会

9月5日に上演したステージ版「詩のボクシング」について北海道新聞に書いた。

声と言葉で闘えるものはリング外にあると真正面から「いじめ」に切り込んでみた。


湧別でステージ版「詩のボクシング」*楠かつのり*「いじめ」テーマ 8人が自作品朗読*表現の場 新たな可能性

2012.10.09 北海道新聞夕刊全道 

 今年は北海道の夏も暑く長かった。そんな9月5日、オホーツク管内湧別町でステージ版「詩のボクシング」を上演した。

 「詩のボクシング」は、ボクシングリングに見立てたステージ上で、2人の朗読者が交互に自作品を朗読し、どちらの声と言葉がより観客(=他者)に届いたかを競う。「声と言葉の格闘技」とも呼ばれ、勝敗は聴き手であるジャッジの判定によって決まる。1997年に始めてから今年で16年目。全国各地で一般参加による「詩のボクシング」の大会が行われており、さらには小、中、高校の教育現場でも自己表現力、コミュニケーション力が高まると授業に取り入れられている。

 わたしはかねてから「詩のボクシング」出場者たちによって新たな表現の場ができないものかと考えていた。その考えに賛同していただいた湧別町教育委員会の協力のもと、上湧別、湧別、湖陵の3中学校合同による芸術鑑賞で実現することになった。

 このステージ版の出演者には、今年の同大会参加者から8人を選抜。そして8人には、根暗な人、肝っ玉母さん、学校教師、新聞配達人などの役柄と自作朗読する作品に初めて「いじめ」をテーマとする条件を与えた。

 出演者が投げ掛ける自らの体験を踏まえた声と言葉を中学生がどのように受け止めるのか。正直、不安もあった。だからといってそれを避けていては、その先を切り開く生きた声と言葉など見いだせるものではない。

言うまでもなく、「いじめ」は子供の世界だけのことではない。大人の世界にもある。あまつさえわたしたちはありのままの世界を見ているのではない。実は脳が見たいと思っているものを見ている。つまり、先入観によって物事を見ているのである。だから、「いじめ」があっても見逃す、あるいは見間違えてしまうこともある。それ故に、「いじめ」を教員と教育委員会の責任逃れだと短絡的に決めてしまうのはあまりに危険だ。だからこそ、生徒、保護者も含めて「それぞれの心の内に宿る先入観をしっかりチェックしよう」と問い掛けもした。

 ステージ版の終わりには、元世界チャンピオン・内藤大助さんの新聞に掲載された「『いじめられたらやり返せ』っていう大人もいる。でも、やり返したら、その10倍、20倍で仕返しされるんだよな。わかるよ。俺は一人で悩んじゃった。その反省からも言うけど、親でも先生でも相談したらいい。先生にチクったと言われたって、それはカッコ悪いことじゃない。あきらめちゃいけないんだ」のコメントを出演者全員で輪読する演出をした。

 始める前は、中にはいじめに遭っている子がいるかもしれない、あるいはいじめている子がいるかもしれない、聴き手の心にどのような波紋をもたらすか、重い緊張感があった。だが、終わった後、中学生の表情はみな生き生きとして晴れやかだったことが印象的だった。

 このステージ版は、依頼があれば道内のどこにでも出向いて上演したいと考えている。ちなみに、このステージ版でチャンピオンになった北大生、大谷真仁(おおたにまさひと)くんは、27日に横浜で開催される第12回「詩のボクシング」全国大会に特別枠選手として出場する。

(くすのき・かつのり=音声詩人、日本朗読ボクシング協会代表)

◇27日に全国大会 第12回「詩のボクシング」個人戦・全国大会は27日(土)午後0時30分から、第4回「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会は同日午後3時30分から、共に横浜市の県民共済みらいホール(中区桜木町1)で開催する。3千円。問い合わせは日本朗読ボクシング協会(電)045・788・2979(ファクスも)か、電子メール(voice@jrba.net)へ。

【写真説明】「いじめ」をテーマに初めて試みた「詩のボクシング」ステージ版=9月5日、湧別町文化センターさざ波


by videoartist | 2012-10-15 09:00 | 2012年個人戦・団体戦全国大会

全国大会まであと2週間ほどになりました。

前売りの観戦チケットの購入手続きは、10月22日までとなっています。

それ以降は、当日券購入扱いになりますのでご注意ください。


観戦チケット発売中!

現在、各地の大会が行われておりますが、10月27日(土)に開催される第12回「詩のボクシング」個人戦・全国大会及び第4回「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会の観戦チケット発売中です。

今回は会場を横浜に移しての開催です。

会場のみらいホールのある桜木町駅まで羽田空港から電車で33分(前回の会場とほぼ同じです)、品川駅から24分、東京駅から電車で30分ほどです。

新横浜駅から桜木町駅までは市営地下鉄で15分です。

桜木町駅から会場へは、徒歩3分です。桜木町駅からは動く歩道道ですぐです。

お得なセット券 個人・団体セット券=3,000円

個人と団体のそれぞれの料金 個人戦・前売=2500円 団体戦・前売=2,000円

c0191992_62844.gifチケット購入方法の詳細・PDF形式

c0191992_62844.gifチラシ表・大会日時

チラシ裏面c0191992_16281789.gif

by videoartist | 2012-10-11 08:00 | 2012年個人戦・団体戦全国大会