日々にイメージを採取する!


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1月30日の短編映像祭「量は少なめ、味濃いめ」の初日のイベントが終わった。

トーク・ショーは、面白かった。進行も、各自「映像作品を持ち寄って」の言葉通りに三々五々集まって来るような進行になった。

久し振りに映像について話すことになったが、出演者がそれぞれ独特の喋りの雰囲気を作れる方たちなのでP級映像作品の上映にふさわしい盛り上がりになった。

「P級」とは、低予算・短時間で製作した個人的映像の意味。


トーク中の様子。手前より、しりあがり寿さん、藪下秀樹さん、安齋肇さん、山崎バニラさん。安齋さんのツッコミと藪下さんのボケ、山崎さんの笑顔での話の絶妙な切り替えし、そしてしりあがりさんの存在感が「量は少なめ、味濃いめ」なトーク・ショーにしてくれていた。
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山崎バニラさんの活弁の様子。作品を活弁してもらったのは初めてだったが、山崎さんには弁士としての新たな表現域を作りだす可能性を感じた。また、そのように山崎さんも日々努力していると実感した活弁だった。
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出演者の終わっての表情。
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大雨の中、予想をはるかに超えて多くの人に関心を持って来ていただき、会場は超満員。その結果、楠ゼミ生2年生、3年生がトーク・ショーを見ることができなかった。

しかし、彼らは、夜遅くまでしっかりと運営をしてくれていた。
今日と明日の学生たちの短編作品上映の運営もしっかりやってくれるだろうと安心した。
by videoartist | 2009-01-31 09:17

寺山修司さんの映像感覚


詩人の谷川俊太郎さんと久し振りに食事をすることになっている。

実はわたしは谷川さんの助手をしていたことがあり、その時に谷川さんと寺山修司さんとの間でやりとりしていたビデオ映像による往復書簡「ビデオレター」を側で手伝っていたことがある。実はほんの少しだけどわたしの撮った映像も使われている。

寺山さんは、寺山修司を実体ではなく意味として捉えていた。さらに言えば、世界を言葉の意味として捉えようとした。その寺山さんが、肝臓癌の末期だったことも関係しているのだろうが、「ビデオレター」では自分の実体に触れようとしたところがある。

寺山さんのところにいた森崎偏陸さんが寺山さんからの「ビデオレター」を届けてくると、わたしはそれを谷川さんと一緒に見ながら、この先は一体どうなるのだろうかと楽しみにしていた。

ところが、寺山さんの死によって「ビデオレター」は突然終わってしまう。

とても残念だった。

そして一応の区切りをつけるということで(つまり「ビデオレター」という作品を完成させるために)谷川さんは返事の来ない「ビデオレター」を寺山さんに出す。その映像の終わりには、「二十才 僕は五月に誕生した」の行の入った寺山さんの「五月の詩」が映し出される。「寺山修司は5月に生まれて5月に死んだ」と谷川さんなりのこだわりを持っていたようだった。

この時の体験は、わたしが映像表現することにおいて貴重なものとなっている。


その谷川さんと語り合って作った本が、1993年にフィルムアート社から出版された「これは見えないものを書くエンピツです」。

この本では、プライベートなビデオ映像の可能性についてかなり深く掘り下げている。

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本の表紙に「ユビめくり・ビデオ劇場」とあるのは、わたしのビデコマ作品「加速りんご」を本のページをパラパラ漫画として観てもらおうというもの。りんごが朽ちてゆく過程を定点観測すれば半年はかかってしまうところを電子レンジでその時間を加速させてみた。

本の裏表紙(1部分を拡大)には、その「加速りんご」の写真がある。右側一番下の写真は、干からびたりんごが燃えて煙が出たところ、そこでこの映像は終わる。

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by videoartist | 2009-01-30 08:30

いよいよ30日のイベントが明日に迫った。

わたしの映像作品を山崎バニラさんがどう活弁するかが楽しみだ。

ヨコハマ経済新聞に下記のように紹介された。

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短編映像祭で著名人持ち寄り上映&トーク-山崎バニラさん活弁も
(2009年01月28日)

映像作品「タオの宇宙」より

ブリリア ショートショート シアター(横浜市西区みなとみらい5、 TEL 045-633-2151)で、1月30日より短編映画作品祭「量は少なめ、味濃いめ」が開催される。

初日の30日は「第1回P級映像持ち寄り上映トークショー」と題し、活弁士の山崎バニラさんをゲストに、各界の著名人らが映像作品を批評し合う。1部では、漫画家のしりあがり寿さんはオリジナルキャラクターの映像を、タモリ倶楽部・ソラミミストの安齋肇さんと「三宅裕司のえびぞり巨匠天国」などで知られる藪下秀樹さんは共同で製作した映像を、映像作家の楠かつのりさんは365日撮りためた映像を1分20秒に凝縮した作品と超小型カメラを犬の頭に付けて撮影した映像作品を持ち寄る。

第2部は、「新たな無声映画への挑戦」と題し、魚眼レンズで撮影した写真で構成したプラネタリウム用の映像作品「タオの宇宙」を無音声にし、山崎バニラさんが活弁する。「P級」とは、低予算・短時間で製作した個人的映像の意味。

31日と2月1日は、全国各地の大学生や映像作家の卵から募った自主制作映像20作品を上映。その中から最優秀作品を来場者の投票で決定し、最終日に上映する。

同祭は、関東学院大学現代コミュニケーション学科の楠かつのりゼミが主催。広報担当の池田望さんは「日常の悩みを題材にしたヒューマンドラマや、アニメーション、コメディーなどを、短い時間のなかで見比べることができる『まさに量(作品時間)は少なめ、味(内容)濃いめ』をお楽しみ頂けます。制作から企画運営を全て学生が行っているので、映画館でありながらも、どこか大学キャンパスに来ているような雰囲気を味わうことができます」と話す。

開催は2月1日まで。開催時間は30日は第1部が19時から、当日13時よりチケットを配布する。31日と1日は13時10分から。入場無料。
by videoartist | 2009-01-29 08:00

1月27日のブログに関係するが、20代後半は小劇団を主宰していた。
劇団名は、「時間装置」。

3ケ月おきに脚本を書き、演出をして年4回という公演を行っていた時もあった。

下の写真は、「りーふりーじゃれいたー」、つまり「冷蔵庫」という題で公演した時のもの。

古びたアパートの一室で貧しく暮らす元登山家の父と娘。娘はがん末期で余命いくばくもない父が果たせなかった幻の山への登頂を企てる。

なぜ冷蔵庫かと言えば、父には冷蔵庫は一番上に製氷室が設けられており、それがあたかも標高の高い山のように見えていたからだ。

ところが、登頂は、貧しいが故に大家の陰険な部屋代請求や電気やガス、はては水道代を請求する会社員のあくどい妨害にあう。その妨害を跳ねのけながらー娘は登頂に成功するという物語。

登頂までの過程が、すべてアパートの部屋の中の出来事という構成になっている。

上演場所は、新宿にあるタイニイアリス。

舞台装置は、すべて発砲スチロールでできていた。冷蔵庫のオブジェもあり、最後にはその発砲スチロールを粉々にして雪に見せるという演出にした。

舞台装置は、現代美術作家の岡崎乾二郎さんが担当してくれた。

この写真は、写真家の鈴木理策が撮ってくれた。彼らしい写真だ。
彼は劇団・時間装置の専属になって写真を撮ってくれていた。

ちなみに、1980年代に入ってすぐにわたしはビデオ映像とテレビ・モニターを舞台装置として使っている。当時、そのように演劇にビデオ映像を使ったことを聞いたことがないので日本で初めてのことだったかもしれない。

そういえば、「ブリキの自発団」の生田萬さんが、片桐はいりさんを連れて通し稽古を見に来てくれたこともあった。生田さんは、ビデオ映像を取り入れることに興味を持っていた。


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by videoartist | 2009-01-28 08:30

ビデオ家族


1988年「家族」という題のビデオ・インスタレーションを西武系のデパート企画で行ったことがある。

展示空間では、家の骨格を象徴するように、60本ほどの丸太を40cmの等間隔に置き、直径6mの円形を作る。次に、その円のなかに居住空間をイメージさせるように20本ほどの大小の丸太を並べ、直径3mの円を作る。

その小さな円の中に、「老人」、「夫」、「妻」、「子供」と名付けた4台の大きさの異なるモニターを丸太で支えて作って置いた。

4台のモニターは、どれも背を向き合わせている。これは家族間のディスコミュニケーションを象徴させた。そして家族の外部環境として「風景」と「他人」のモニターを家族のモニターを取り囲むように置く。

各モニターからは、文字だけではなく、それぞれのモニターを象徴した映像と音声が流れる。「子供」のモニターでは、実際に一人っ子の女の子が、一人っ子の不満を延々としゃべる映像が映されている。この女の子は、1980年に串田和美さんが演出した「上海バンスキング」で岸田國士戯曲賞を受賞した劇作家の斎藤憐さんの一人娘。

実はこのインスタレーションでは、モニターを使った演劇を試みてもいる。モニターは、演劇で言う役者であると同時に舞台装置であるとした。

この劇場では、客はじっと座って観客席にいるのではなく、動きながら観劇することになる。つまりこのインスタレーションでは、客と役者の「観る」、「観られる」の立場の関係を逆転させる狙いも含まれていた。

映像表現を始める前は、小劇団を作り演劇活動もやっていたので、このインスタレーションでは映像表現と演劇表現を合体させたことになった。

展示期間中にトークイベントも行い、演劇空間を面白くする寺山修司さん的視点から演劇実験室「天井桟敷」に在籍していたことのある萩原朔美さん、犯罪と家族をテーマに当時劇団「転位・21」を主宰していた山崎哲さんらを招いて話をした。

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文字は筆で歌人の福島泰樹さんに書いてもらっている。


by videoartist | 2009-01-27 08:00

今日は試写の日


今日はブリリア・ショートショートシアターでの1月30のイベントに上映する作品試写の日。
それなのにまだ編集中だ。

大急ぎで終わらせなくてはならないが、満足はできそうだ。
わたしの作品内容が、しりあがりさんの作品とは対照的になっていてよかったと思う。


ところで、1月21日のブログで紹介したモニタートークのモノクロ写真を見つけた。
手前にいるのが、わたし。

意外に皆さん笑っている。
そういえば、ビデオカメラに向かって話すのはすごく照れてしまうと言っていたのを思い出した。

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左から、新井満さん、島森路子さん、島田雅彦さん、飯沢耕太郎さん、そしてわたし。

by videoartist | 2009-01-26 08:31

1月30日のイベントで上映するために「遠い音」の映像を上映用に再編集している。

「遠い音」はVHSテープでしか作品が残っていないので、VHSのテープからminiDVテープに一度ダビングし、それからパソコンに取り込んで編集している。

編集は、Macにインストールした編集ソフト、といってもファイナルカットプロではなくMacフォーマットのプレミアプロを使って少しエフェクトを加えて処理し、それをiMovieでさらに加工した。ところが、タイトル文字のフォントがMacのものでは見辛いので、今フォントを多くインストールしているVaioにインストールしているWindowsフォーマットのプレミアプロでタイトル文字部分だけを直している。

全体的にけっlこうな時間がかかっている。

アナログからデジタルへ作品を変換しているわけだが、これはもうリメイクといってもよいものになっている。

このリメイク作品がシアターで上映されるどんな感じになるのだろうか、楽しみだ。

ちなみに1月30日のイベントは満員御礼になった。

イベントの詳細はこのページで
by videoartist | 2009-01-25 09:41

ビデオムービーの達人


1990年に平凡社から「ビデオムービーの達人」が刊行されている。

映像における個人表現の方法と未来的可能性を網羅した本である。
今でも十分に通じる内容になっている。

全体的に読みやすくしているが、中にはビデオアートの祖といわれるナム・ジュン・パイクよりも先にテレビ(ジョンセット)を使ってアート表現した芸術家のヴォルフ・フォステルをベルリンに訪ねて話したことに触れ、ちょっと哲学的なことも書いている。

この本では、わたしが描いたイラストを使っている。それも、かなりの数。「ジャンケン」は、その一つ。
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本の表紙に使われているソラリゼーション処理された画像は、当時、ビデコマ(わたしが名付けたビデオ4コマ漫画の略)という作品をいろいろ作っていて、その中の一つ「空気圧」からのもの。向かい合った二人のわたしが互いを吹き飛ばそうと思いっきり息を吐きかけ、左側のわたしが画面から吹き飛ばされてしまう。

そういえば、「ビデコマ塾」という私塾をやっていことがあった。女優の杉田かおるさんから「妹をよろしくお願いします」と言われ、当時多摩美術大学生だった直子さんも通って来ていた。彼女は、母親や姉を使って面白いビデコマを作っていた。

本をぱらぱらめくりながら他にも、テレビCMのスーパーバイザーや各種プロモーションビデオを作っていたこと、その合間の時間を使って(月刊、隔週刊雑誌連載を10本以上持っていたので)原稿を書いていたこと、はたまた週1回のテレビ番組コーナを持っていてそこで流すために面白映像をあれこれ撮って睡眠2~3時間のハードな生活をしていたことを思い出していた。もはやそんな無謀なことができる年齢ではない。

これは売れた本でもあった。


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by videoartist | 2009-01-24 08:00

ビデオ動物園


昨日のブログの続きだが、直島コンテンポラリーアートミュージアムでは「VIDEO ZOO」の作品も展示した。

ビデオ動物園としたこの作品は、檻をイメージした3重(2重目は宙に浮かんでいる)のメッシュネットに囲まれた中にテレビモニターを7台インスタレーションしている。

どうして、テレビモニターを檻に入れているのかといえば、テレビモニターの裏カバーを取り外しているので、誤って高圧電流が流れているところに触ってしまうと死んでしまいかねないからだ。だから、安全のために檻に入れ、その画面に実物の動物の映像を映し出すことによってビデオ動物園とした。

檻の周りは移動できるスペースを取っているので、360°どこからでもモニター動物を見ることができる。

この写真には映っていないが、ビデオ動物園の展示会場には双眼鏡が用意されており、双眼鏡でテレビモニター動物をはっきりと見てもらえるようにした。また、会場では音を出すことができなかったので、ワイヤレスヘッドホーンも用意し、動物の実際の鳴き声も聞くことができるようにもした。

つまりこの「VIDEO ZOO」は、肉眼だけでもよいが、双眼鏡を覗き、ワイヤレスヘッドホーンで鳴き声を聞くことで、普段とは異なる視点で見ること聞くことを楽しめるようにした作品である。


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by videoartist | 2009-01-23 07:30

つむじを見る


1993年の夏、現代美術作家の藤本由紀夫、間島領一、牛島達治、小林健二、ヤノベケンジらと瀬戸内海に浮かぶ直島にある直島コンテンポラリーアートミュージアムでの「キッズアートランド」展(主催:ベネッセ・ハウス / 直島コンテンポラリーアートミュージアム / 福武書店)に2作品を展示した。

その一つが、この作品「MOMOTAROU’93」。現代版桃太郎といったところ。瀬戸内海には実際に鬼が島もある。使っているものは、TVモニター、ビデオカメラ、基盤他。

この作品を図録の写真で見た佐野洋子さんが、「これいい。すごくいいと思う」と言ってくれた。
佐野さんにそう言われて、とても嬉しかった。
佐野さんは、「100万回生きたねこ」の作者。

女の子の前にモニターがあるが、女の子がモニター画面に目をもう少し落とすと、基盤ロボットの眼の位置にある小型のビデオカメラが頭のつむじを捉え、それが大きくモニター画面に映し出されるようになっている。

自分のつむじを真上から見るなんてことは一生に一度あるだろうか。
しかも、まじまじと。

自分では見ることのできないつむじは、あるようでないような昔話のような存在なのかもしれない。


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by videoartist | 2009-01-22 08:30