表現においてもいろいろな発展形態がある。
9月5日に行うステージ版「詩のボクシング」もそうだ。
ステージ版としているのは、「詩のボクシング」をミュージカルや演劇と同様に上演するものとしたからだ。
つまり、このステージ版自体が一つの作品になる。
そして、この作品は北海道大会を行っている湧別町の文化センターさざ波で上演される。
ステージ版でも8人制の「詩のボクシング」トーナメントを行うが、通常と異なるのは1回戦にテーマを与えていること。さらには、出演する朗読ボクサー8人には、役柄が与えられている。不思議なおじさん、常に悲観的な大学生とシニカル大学生、純粋無垢な娘、ラッパー好きな青年、新聞配達人、学校の先生、旅館のおかみさんなどである。今回のテーマは「いじめ」。このテーマで出演する8人の朗読ボクサーが、与えられた役柄で自作品の朗読を行う。
役を与えることによってどのような声と言葉が引き出されてくるのか、これは通常の「詩のボクシング」とは異なる表現へのアプローチでもある。
「詩のボクシング」には誰もが参加できる場であるので、この事は容易に理解してもらえることだろう。
このステージ版においても「詩のボクシング」トーナメントのジャッジは観客全員が行う。
全体の構成と演出はわたしが担当しているが、その他は全てこの1回限りの声の場に集まった人たちが担当してくれる。
演劇公演と大きく違うのは、出演者が稽古を積み重ねた上で演じるのではなく、稽古という言い方をすれば、それを行うのが日々の生活の場であるということ。このことは自作品を朗読することにおいて非常に重要なことであるとわたしは考えている。
9月5日、ステージ版「詩のボクシング」の上演がどのようなものになるのか……刻々と変化して最終的な形になる。