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プラネタリムのドームに映し出す作品について


今日は短編映像祭での学生作品上映の最終日。学生の作品をプロフェショナルな映画館を使って上映すると、学内で見ているのとは違って見方が非常に厳しくなる。が、その厳しさに十分に耐えられる作品もあって、この企画は初めてにしては上々のできではないかと思っている。

それに昨日は一般客も入っていて、上映の前後に行う学生MCもプログラムが進むにつれてよくなっていた。運営もテキパキやっていて、感心した。

今日はいよいよ上映作品の中から人気ベスト1が決まる。


1月30日のイベントで山崎バニラさんが活弁してくれた「タオの宇宙」は、円周魚眼レンズを使って撮影した写真画像によって構成されている。その作品をイベントでは平面のスクリーンに映し出したが、これは本来プラネタリウムの半球状のドーム面に映映し出せるように編集されているもの。作品の編集には、株式会社五藤光学研究所の全面協力を得ている。

現状では、プラネタリウムの半球面ドーム全体に動画にしても静止画にしても画像を映し出すには専門技術者の協力は不可欠となっている。たとえば、タイトル文字にしても、球面に歪みなく映し出すためには、その歪みを計算した画像処理が必要となる。しかも各地にあるプラネタリウムのドームそのものの作り(構造上)の違いもあり、そこでは再び画像の微妙な歪みを補正する必要がある。

プラネタリムのドームに映し出す作品について_c0191992_4573317.jpg




画像は、五藤光学研究所で開発中のプラネタリウムで、2007年に制作したわたしのプラネタリユウム作品を試写してもらっているところ。タイトル文字が崩れていないのは、ドーム球面の歪みを計算して映し出しているから。)

映し出す画像においても、ただ魚眼レンズを使って撮影すればよいのではなく、見せたい中心となる被写体の位置をどこに置くかを工夫(正確には一枚の画像の中に見せたい中心となる被写体をいくつか想定してみる)をして全体の画像を撮影時に決定しなくてはならない。なぜかと言えば、後でトリミングなどの処理はできないからだ。

また、上映においても、例えば、場面転換の速度はプラネタリム上映の経験知が必要となる。でなければ、鑑賞者に不快感を与えることにもなりかねない。

しかもわたしの作品は、ドーム全面を使うことを条件にしているので、鑑賞の仕方も席に座って視線を一方向に向けて見るというのではなく、見たいところを見てよい、つまり身体を動かし視線の方向を変えながら見てもよいという作り方になっているので、そのことも計算に入れて編集してもらわなくてはならなかった。

プラネタリウム作品の詳細については、1月21日のブログに紹介した論文に書いている。この論文は、プラネタリウムに映像を映し出すことができるようになってからの歴史とわたしが試みている作品がなぜ新しいのかを五藤光学研究所とのやり取りで客観化している。

当初、普段撮っている動画映像でプラネタリウムに映し出せらよいと思ったので、それが可能かを五藤光学研究所に尋ねたところ、それを可能にするには映像にかなりの解像度が必要となり現行のハイビジョン映像でも無理だと言われてしまった。

しかし、どうしても実写した動画をドーム全面に映し出したいのであれば、一度撮った映像をドームに映し出し、そうして円形になった映像を再度撮影すると可能になるが、そのためにはドーム全面を撮影できる特殊なレンズ(あるいは映像を何分割かにして撮影し、分割された映像を元に戻すようにコンピュータ処理する)が必要となり、それには(わたしすれば)膨大な経費がかかってしまうとのことでもあった。

もちろん、膨大な経費など工面できる術もなく、動画での撮影は諦め、円周魚眼レンズを使って作品を作ることにした。
by videoartist | 2009-02-01 08:30