朗読することで人が見えてくる
2009年 06月 30日
言葉というのは、人を人間的なものにもするが非人間的なものにもする。
言葉を信じることで、言葉で世界が成り立ち、言葉で世界を変えられると傲慢になってしまう人がいる。
人の気持ちが分かるような美辞麗句を並べながら、まったく人の気持ちなど理解できない、いや人の気持ちなど言葉の綾だと思っている人がいたりする。
だが、朗読はそうではない。美辞麗句にしても、文字であればそれも通じるかもしれないが、声ではそうはいかない。なぜなら、朗読は言葉では捉えれない身体そのものに裏打ちされているものだからだ。
第8回兵庫大会本大会で大会終了後に組んだ特別試合でもそのことを感じた。
特別試合は1ラウンドのみで、河村直希選手とデクノボウ選手が対戦。両選手ともラップで試合に臨み1回戦で敗退した。
デクノボウ選手のラップは、初心者で未完成ではあった。それ故にその未完成なリズムの合間からデクノボウ選手の人となりがこぼれ落ちるように表れてくる。
二人の互いの声を聞く対戦だからこそ感じられた人となりに観客は満足したのではないだろうか。
その楽しみ方に「詩のボクシング」の魅力の一端があるのだとわたしは思う。
対戦した河村選手も、この特別試合に満足してくれたいた。
勝ち負けを超えた「朗読することで人が見えてくる」とった印象を与えてくれたよい試合だった。
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第8回兵庫大会チャンピオンで全国大会出場を決めた沖拓也選手からのコメント
18歳、高校生の時に初めて参加させていただき、あれから6年。年齢も、環境も、考え方も、大きく変化していった。それでもまたこうして「詩のボクシング」に参加したのはなぜだろうと考える。
まず一つに、「詩のボクシング」兵庫大会を運営してくださっているスタッフさんの温かさ。本大会では、遅刻をしてしまった僕を咎めるどころか、心配までしていただいた。この場をお借りして、本当にすみませんでした!
もう一つに、高校生、社会人、年齢性別を超えて、詩という自由なカテゴリーのなかでのノージャンルな戦い。一人の言葉を他者に伝えるための言葉の戦い。創作という自分への挑戦。
夜の公園で歩きながら言葉を吐き出す。生きている。生きているんだこんなにも!!!
終わった後は息が上がる。「これはスポーツやな」、「詩のボクシング」とは本当に深いネーミングだなぁと実感した瞬間でした。
このように、表現したいこと、悩み、発見、共感。さまざまな思いを言葉で表す場を開いてくださっている楠かつのりさん、大会運営のスタッフさん、関係者の方々に感謝です。
そして、あの場を皆で創った朗読ボクサーの皆さん、本当にほんとうにありがとうございます!!!
ひとりで勇気をだして応募したあの日から、たくさんの出会いがあり、言葉があった。そこから言葉がまた生まれた。その言葉が今を豊かにし、明日を照らしてくれる。
相手の姿を見て、相手の発する言葉を聞いて、人間てすばらしいな。と感じました。
全国大会では皆さんにいただいた言葉をパワーに変えて、頑張ります!