ワークショップ型を通じて思うこと、そして山梨大会
2012年 06月 07日
例えば、詩的なるものを求めようとするのが心であり、散文的な生き方をするのが身体だと言うことができるでしょう。
有り体に言えば(これもひとつの例えですが)、金銭的な呪縛を断ち切ろうとするのが心であれば、金銭的な呪縛を引き受けて動くのが身体です。
心は純粋であり、身体は汚れたものという考えもこのことに依拠しています。
詩について言えば、文字として書き表されるものは心であり、人の半面の姿だと言ってよいでしょう。つまり、それは身体を捨象したところに成り立つ人の不完全な姿であると言えるのではないかということです。
わたしは身体を詩表現の中にどのように取り込めるのかと考えた末に「詩のボクシング」を始めたわけですが、全国各地で行っているワークショップを通じて「詩のボクシング」では心と身体が織り成す表現が求められることを痛感しています。
現在のようなネット社会では、よりリアルなものへの欲求が増殖されます。バーチャルなもので覆われた世界では、バーチャルなものを支えるリアルが逆に強く求められるのだと言い替えてもよいでしょう。
この場合のリアルなものとは、身体に他なりません。
「詩のボクシング」は、そのリアルさを求めている場なのです。
そして、その考えのもとにワークショップ型の「詩のボクシング」を被災地でも行っています。ちなみに、東日本大震災の被災地へ朗読をしに行く人たちがいますが、そうではなく被災地の声を聴くとして行っているのです。
その被災地でのワークショップを通じて感じるのは、「自分たちの言葉を押し付けるのは、やはりバーチャルな感覚の延長線上にある=他者を感じられない」ということ。一方、「リアルな感覚とは、人の声を聴くことの内に宿る=他者を感じる」ことなのだということです。
ところで、被災地ではありませんが、8月29日に山梨県北斗市でワークショップ型の大会を行うことが決まりました。
また一カ所、よりリアルなものを求める場が生まれることになります。
今後もその場が増えることにより、心と身体が織り成す新たな表現が広く受け入れられるようになることを望んでいます。
第1回ワークショップ型「声と言葉のボクシング」山梨大会 in 長坂の開催について
「詩のボクシング」に本研究会でとりくみを重ね、これまでの実践で子どもたちのコミュニケーション能力を高める一助となってきた。今年度は、来年度の県教研を見据え、新たな実践に挑戦し、「詩のボクシング」の可能性を追求していきたい。
そこで、今年度で閉校となる長坂4小学校には、本研究会員が所属していることから、子どもたちによる「詩のボクシング」大会を開催し、交流と学習の場として設定したい。統合長坂小学校の6年生として力を発揮できるように、5年生を中心に交流させたい。
また、「教職員の文化活動をどうすすめるか」という本研究会の所属する県の分科会において基調提案されたことを受け、また、子どもたちへの「詩のボクシング」指導の充実のため取り組んできた、教職員自ら「詩のボクシング」を実践することで、指導の充実を図っていきたい。
長坂4小学校5年生交流会 第1回ワークショップ型「声と言葉のボクシング」山梨大会 in 長坂の概要
(1)開催目的
・長坂4小学校の5年生の交流を図る。
・「詩のボクシング」について理解を深める。
・子どもたちのコミュニケーション能力を高める。
・保護者・地域との連携を深める。
・教職員の力量を高める。
(2)開催日 2012年8月29日(水) 午後1時45分~午後4時30分
(3)会場 長坂コミュニティーホール
(4)参加者
・現代文化と教育研究会員
・長坂4校の5年生全員 ※児童の送迎は、各校対応。
・長坂4校の5年生保護者(希望者)
(5)日程
1:30 講師、長坂駅到着
1:45~2:00 開会行事
・はじめの言葉
・主催者あいさつ
・講師紹介
2:00~2:45 自分の言葉を声にして伝えることを知るワークショップ
講師:楠かつのり氏
・現代文化と教育研究会所属教職員による団体朗読の披露
2:45~4:00 団体戦(7試合)
4:00~4:10 研究会員による朗読発表
4:10~4:30 閉会行事
・表彰
・講評 (楠先生)